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いつまでもペンギンとサルを見て、笑ってばかりいるわけにもいかない。
きらめくタワーに酔いしれて、私が瞳を潤ませ、熱い吐息をつき、ソッと頭をもたせかける……そんなシーンを思い描いていたのだ、と思う。
なのに、私ときたら、彼の期待とは違う方向に興奮し、ムードどころではなかったのだ。
今なら言える!既婚者だって、白状しちゃえ!という、ヤケクソな気持ちと、このムードをぶち壊すなんて、もったいないっという、身勝手なホンネが、心の中で葛藤していたのだ。
無言のまま、数分が過ぎた。
彼は、いつまでたっても瞳を潤ませない私に見切りをつけ、「そろそろ帰るつか」と、腰を上げた。
JR浜松町駅へトボトボ歩く間も、無言は続いた。
「去年」「うん」彼は座った姿勢のまま、腰が数センチ、浮いた。
マンガのようだ。
私は不謹慎にも、つい、プッと吹きだした。
「ご、ごめんなさい」慌てて、謝る。
まったく。
まずは、「編してゴメンナサイ」だろう。
彼は、呼吸を整えているようだった。
間を置いてから、尋ねた。
「……いつ、結婚したの?」切符を買い、駅のホームに入る。
ベンチに腰をおろす。
電車がパオーッという騒々しい警笛とともに、入線してくる。
立ち上がって、電車に乗ろうとする彼。
私は思い切って、その彼の腕を引き留め、ベンチにもう1度、座らせた。
「あ、あの……」「ダンナさん、かわいそうですよ」ホームは乗降客でザワついている。
このドサクサにまぎれてなら。
私は深呼吸した。
「私、結婚してるの」「まだ1年しかたってないじゃない」アナタもかわいそうです。
彼はしばし、私に尋問した。
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